Asymmetric Reality (ずれのある共有現実)
20240214
複数人がコンピューターを介して現実を共有し、コミュニケーション・共同作業をする環境に関心があります。(Compuer-mediated Reality, CMC, CSCWなど)
特に、「全員が全く同じものを見る」という客観性の制約を取払った、部分的な「ずれ」がある現実の共有に関心があります。(非対称的な現実)
ずれ = 非対称性は、空間、時間、言語など様々なドメインについて考えられます。
具体的には、以下のような環境が考えられます。
VRレストラン:内装や料理が各ユーザーの好みに応じて個別に最適化されるが、他人との食事体験は共有できる。
オンライン会議:他者の発言が自分の母語に自動翻訳される環境。
VRコラボレーション:各ユーザーの実際の部屋の制約に応じて、バーチャル空間の座標系を歪めて提示する。
遠隔テレオペレーション:ロボットが置かれている環境をユーザーに提示する際に、時空間をユーザーの状況に合わせてずらす。(IEEE VR 2024にて応募者が発表)
オンライン講義:各生徒に最適化された講義映像の速度を提供しつつ、時間のずれを超えて生徒間のコミュニケーションを可能にする。(2020年度未踏にて応募者が開発)
これらのアプローチは、「本質的に共有したいこと」を共有する一方で、「共有する必要がないもの」に関しては非対称性を許容し、個別に最適化するというアイデアに基づいています。例えば、VRレストランでは「他人との食事」という共有体験を保持しつつ、「内装や料理」という個人の好みは個別に最適化されます。
以上のような非対称性のある環境について研究しつつアプリケーションを探ることで、現実の非対称性についての一般的な設計論を見出したいと考えています。
20231207まとめ
部分的に「ずれ」のあるVR
最近考えている研究テーマの進め方がわからず行き詰まっているので、ここに書いてみるblu3mo.icon
なんでもいいので何かしら反応や感想がもらえると喜びます
一般的な現実やVRでは、同じ空間にいる複数人は同じ世界を見るのが普通
ただ、同じVR空間にいる複数人が、それぞれ少し異なる現実を体験するようなケースも考えられる
例:VR空間にて複数人が共同作業する状況を考える。 部屋には積み木とかモニターとかがある
https://gyazo.com/cb55e2121318dfcc91f9958bc57b0c89
一番上に描かれているのが、オリジナルの現実。
ただ、赤/青/緑の人はそれぞれオリジナルとは少し違う、個別にカスタマイズされた現実を見ている
赤の人が見ている世界(左下):
自分以外の人のアバターとモニターがオリジナルとは異なる位置に置かれている
カスタマイズの意図:自分がモニターを見やすいように配置を変えたかった
青の人が見ている世界(中央下):
机の上にあるオブジェクトがオリジナルよりも大きくなっている
カスタマイズの意図:オブジェクトの細部を見たかった
緑の人が見ている世界(右下):
自分以外の人のアバターとモニターが透明になっている
カスタマイズの意図:机の上のオブジェクトに集中したかった
このように、共同作業をしている空間でも、VRなら個別にカスタマイズして異なる現実を体験することができる
ただ、このような現実の個別カスタマイズをすると、現実の「ずれ」によってコミュニケーションに齟齬が生じ始める
「自分が見えているオブジェクトが相手には見えていない」とか「指差しているオブジェクトが相手には違う位置に見えている」とかの問題が起こりうる
それを解決するために、以下の二つの手段が取れる
1. 現実の他の部分を調整して、うまく「ずれ」を吸収する
たとえば指差しているオブジェクトが相手には違う位置に見えているなら、差している指の位置も相手には違う位置に表示すればいい
2. どうしても必要なら、必要な範囲で「ずれ」を取り除く
誰かが特定のオブジェクトについて話している時は、そのオブジェクトが必ず全員に同じ位置に表示される、とか
https://gyazo.com/070efb86e723e6fc7e738628ed3d7f4e
以上のような、①主観的な現実の個別最適化 と ②個別最適化による「ずれ」の吸収 をうまく実装したい
これができれば、従来の「全員が全く同じ現実を体験するような客観的現実のパラダイム」とは異なる形のVR空間を作れる
↑では、オブジェクトやアバターのサイズ・位置・可視性などの「ずれ」について話した
ただ、それ以外にもさまざまな変数の個別最適化とずれの吸収が考えられる
たとえば
「時間」の個別最適化
部屋の明るさの個別最適化
空間の座標系の個別最適化
人の個別最適化
嫌いなやつは視界から消すとか(?)
verbal言語のずれ
翻訳
non-verbal 言語のずれを埋める